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ぼろ服じじい 2

コンコン・・・。コンコン・・・。

家の 中は、しーん、として笑い声一つ聞こえません。

コンコン・・・。

「ごめんください。仕事を探している者ですが。」

・・・・・。

「だんなさま、ぼろ服じじいが来たみたいですが。」

「ほうっておけ、あんなきたならしい奴が、この家に入ったら、家がけがれるわい!」

コンコン・・・。コンコン・・・。

「しつこい奴だなぁ。よし、一つ言ってくるか・・・。おまえは、何しに来たんだ。こんな夜ふけに、ここは、こじきのくるようなところじゃない。さっさと帰れ、きたない奴め、ドン。」

 だんなが突き飛ばしたひょうしに、ぼろ服じじいの足は、大きな石の下敷きになってしまいました。

「わっはっは。一晩中、その石の下敷きになって、じたばたしていればいいわい。じゃぁな。」

 だんなは、すたすたと行ってしまいました。

 そこへ、左の家のおじいさんが、まきわりから帰ってきました。何だか、そばで、わめき声がするので、みると、そこにぼろ服じじいがいるではありませんか。そして、もっとよく見ると、大きな石に足がはさまれているではありませんか。

「おっ、だいじょうぶか。ばあさんや、ちょっとでてきてくれ。」

 おじいさんの声が聞こえたらしく、今にもたおれそうな小屋の中から、おばあさんが、でてきました。

「まぁ、たいへん。」

 心のやさしい老夫婦は、ない力をふりしぼって、ぼろ服じじいを助け出しました。そして、家に連れて帰ると、いっしょうけんめい手当てをしました。

 しばらくして、

「うーん。」

と、ぼろ服じじいが、気が付きました。もう、外には、日がのぼっています。

 おくの部屋から、おばあさんが、おわんに一盛りの、おかゆを持ってきました。

 そして、ぼろ服じじいの目の前にさしだすと、

「何もないけど、これを食べなさい。」

と、やさしく言いました。

 ぼろ服じじいは、

「はぁ、すみません。いただきまぁす。」

と言うと、がつがつと食べ始めました。半分ぐらい食べたとき、ぼろ服じじいは、不思議そうに、

「どうしてあなた方は、そんなに、わしに親切にしてくれるんじゃ。」

と聞きました。

「そりゃぁ、あんたも、好きでこんな服を着ているんじゃない、何か、わけがあってのことと思って、ただそれだけのことじゃ。しかし、となりのだんなも、ひどいことをする人じゃ。わしも昔、よくあのだんなにいびられたけど・・・。まぁ、しばらくこの家で休んでいきなさい。」

と言いました。

 そのときです。辺りが急に、ぱぁっと金色にかがやき、中からおしゃか様がでてきました。

 そうです。ぼろ服じじい、と呼ばれていた人は、おしゃか様だったのです。

 おしゃか様は、老夫婦の前に静かに歩み出ると言いました。

「私は、この世の中で、どのくらい人を身なりで判断しない人がいるのか、と思い、仕事を探している、と言ってためしたのです。残念ながらこの村では、あなた方、夫婦だけでした。

そこで、あなた方夫婦には、この反物をあげましょう。これで、たくさんの着物を作りなさい。では、さようなら。

 おしゃか様は、もとの、ぼろ服じじいの姿にかえると、村を出て行きました。

 あとに残った老夫婦は、顔を見合わせて、にっこり―。 

 

 

つづく・・・。


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